それでも我が娘
今日の朝日歌壇
障害を持つ娘との日々疲れ果て我が身も病んで
それでも我が娘
最後のひとこと、きっぱりと言い切るその思い、心にしみました。
うちと全く一緒。日々、罵声をぶつけられ、ものが飛び、ものが壊れる。
もう限界、と思いつつ、それでも踏みとどまることができるのは
「それでも我が娘」という思い。
たまたま同じ朝刊に石牟礼道子さんの歌集『空と海のあいだに』の紹介がありました。石牟礼道子さんのおばあさんは精神を病んでいたそうです。雪の降る夜、決まって家を飛び出し、探しに行くのは幼い石牟礼さんの役目だったそうです。雪道の先に見つけたおばあさんを抱きとめ、魂が入れ替わると思えるほど心を通わせた体験を歌に詠んでいます。
雪の辻ふけてぼうぼうともりくる老婆とわれといれかはるなり
後に書かれる『苦海浄土』は、聞き書きではなく、言葉さえ奪われた水俣病患者の苦しみを我がことのように苦しみ、その魂を身に宿らせるように書かれたものだった。その原点がおばあさんとのこういう体験だった、と。
娘を抱きしめるわけにはいかないが、「それでも我が娘」と、もう少し頑張ってみようと思いました。