タカサキきんこんかん

タカサキのキンコンカンの日々

「生き辛さ」を抱えたところでの接点     (寄り添い日記−4)

 娘の外出につきあいました。なんと中山駅前にある美容院を予約したとかで、大急ぎで美容院に向かいました。小田急線、横浜線と乗り継いで40分ちょっとあります。電車の中でいろいろ話をしました。

 昨日紹介した絵は2枚とも退院していった人たちの絵で、仲良くしてくれたお礼に描いたそうです。

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 この人は二人部屋で一緒だった人です。引っ込み思案の娘を引っ張り出してみんなに紹介してくれたりしたそうで、病院生活にスムーズに入れたのもこの方のおかげだとすごい感謝しているようでした。

 最初は閉鎖病棟に入院してたというので、それなりに症状がひどかったのだと思います。徐々に落ち着いて、今の開放病棟に変わり、娘と同じ部屋になったようですが、お互い「生き辛さ」を抱えたところでの接点があったのでしょうか、すごく話が弾んだようです。こういう場所での出会いは、私たちの日常よりもはるかに深い出会いがあるのではないかと思いました。この絵は二人の出会いを物語っているように思います。

 わずか一ヶ月に満たないおつきあいでしたが、それでも相手に対してこんなに思いをこめた絵が描けたこと、それは病院の治療を超えるものだった気がします。うつ病を発症して以来、人に対してほとんど閉じた生活をしていました。ここまで思いを込められる人がいませんでした。

 半ば人生をあきらめるような辛さもある中での入院でした。娘にとっては明るい展望の見える入院ではありませんでした。にもかかわらず、こんな思いもよらない素敵な出会いがあったのです。

 ぎりぎりまで追い込まれた人間同士だからこその出会い。「生き辛さ」をいやというほど経験したからこその出会い。娘にとっては、もういっぺん生き直すきっかけになったくらいの出会いだったのではないかと思います。

 相手の方は感激して携帯の待ち受け画面に使っていると聞きました。

 

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 こちらもよく話をした男性で、さわやかさあふれるいいお兄さんだったようです。娘がどんな風に見ていたか、痛いほど伝わってくる絵です。退院したあと、すごく落ち込んだといってました。ひょっとしたら青春をやっていたのかもと思いました。

 

 ま、いろんな話をしながら美容院へ。入院中で、どうして美容院なの?と思いましたが、いらんことをいうと、またもめそうなので黙ってついていいました。(昔、山から落っこちて大けがをして9ヶ月も入院したときは、理容師の学校の生徒がやってきて、ただでやってくれましたが…)

 待ってるつもりで美容院に一緒に入ったのですが、ものすごい場違いな感じで、すぐに出てきました。で、そこからは母親にバトンタッチ。

 美容院で2時間も使ってしまったので、大慌てで家まで帰り、ばたばたと病院に持っていく荷物をまとめていました。車で駅まで送っていったのですが、降り際、何度も握手してきて、ずいぶんやさしい気持ちになったなという気がしました。