人間の暮らしは、なにものにも優先して、一番大事なもの
水野スウさんのFacebookに花森安治さんの言葉が載っていました。
花山さん
「 …私は、戦争中、男には毎日の暮らしなどよりももっと大事なものがあると思いこんできた、思いこまされてきた。
しかしそんなものはなかったんだよ、毎日の暮らしを犠牲にしてまで、守って闘うものなど何もなかった。
人間の暮らしは、なにものにも優先して、一番大事なものなんだ。それは何者もおかしてはならない。たとえ戦争であっても。今ようやくわかった。
もし豊かな暮らしを取り戻すきっかけとなる雑誌をつくれるのなら。」
昭和20年10月、お茶の水のニコライ堂の下のちいさな喫茶店での、花森安治さんの言葉が、大橋鎮子著『「暮しの手帖」とわたし』にこのように記されています。
…君はどんな本を作りたいか、まだ、ぼくは知らないが、一つ約束してほしいことがある。それはもう二度とこんな恐ろしい戦争をしないような世の中にしていくためのものを作りたいということだ。
戦争は恐ろしい。なんでもない人たちを巻き込んで、末は死までに追い込んでしまう。戦争を反対しなくてはいけない。君はそのことがわかるか。
君も知ってのとおり、国は軍国主義一色になり、誰もかれもが、なだれをうって戦争に突っこんでいったのは、ひとりひとりが、自分の暮らしを大切にしなかったからだと思う。もしみんなに、あったかい家庭があったなら、戦争にならなかったと思う。
自分の暮らし、毎日の暮らしを何よりも大切にすること。
ひとりひとりの生きる、を大事にすること。
国や公よりも、個人の、ひととしての生きるを大切にすること。
それが戦争にあらがうちからになっていく。
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ぷかぷかは昨年のワークショップで《みんなの生きる》をテーマに芝居を作りました。あらためて一人ひとりが大切にしている《生きる》が見えてきました。2月の発表会の舞台では、みんなの平凡な毎日が出てきました。それを「むっつり大王」はめちゃくちゃにします。むっつりの仮面がみるみる増えていき、「むっつり大王」を支えます。「むっつり大王」は戦争そのものです。
舞台では空気を読まないぷかぷかのメンバーさんたちが、「むっつり大王」を退散させます。それを思いついたのはぷかぷかのメンバーさんと一緒にやるワークショップの中でした。これはとても大きな気づきでした。第二期ワークショップのいちばん大きな成果だったと思います。
世の中が戦争に突き進む雰囲気になったとき、それは
世の中の多くの人たちがこんな仮面をかぶったときの恐ろしさ、です。
それを救うのはひょっとしたら彼らではないのか、という私たちの気づき。空気を読まない彼らは、こんな仮面はかぶらないのです。
ショーへーさんはワークショップの終わったあと、いつもお母さんに電話します。電話口で
♩おひさま〜が りんごの〜 はっぱをとおして ひ〜かる〜♩
って歌っているのを聞いて、なんだかとてもあたたかい気持ちになりました。この歌こそがむっつりの世界からみんなを救うのではないかと考えたのです。